風姿花伝第四、神儀云
 申楽神代の初まり
 仏在所には 📍
 日本国に於ては
 平の都にしては
 当代に於て

風姿花伝第五、奥儀云
 一 序・風姿花伝の謂れ
 二 和州・江州・田楽の風体
 三 一座建立の寿福・衆人の愛敬
 四 寿福増長に対する戒

風姿花伝第六、花修云
 一 能の本を書く事
 二 作者の思ひ分くべき事
 三 強き・幽玄・弱き・荒きの別
 四 能と為手の位との相応

花伝書別紙口伝
 一 花を知る事
 二 細かなる口伝
 三 物真似に似せぬ位
 四 能に十体を得べき事
 五 能によろづ用心を持つべき事
 六 秘する花を知る事
 七 因果の花を知る事
 八 能の善き悪き
 九 一代一人の相伝

 

 

 

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風姿花伝第四、神儀云 仏在所には

一、仏在所には、須達長者、祇園正舎をたてゝ供養の時、釈迦如来御説法ありしに、提婆一万人の外道を伴い、木の枝篠の葉に幣を附て、踊り喚めば、御供養宣べ難かりしに、仏、舎利弗に御目を加へ給へば、仏力を受け、御後戸にて、鼓、鉦鼓を調へ、阿難の才覚、舎利弗の智恵、富楼那の弁説にて、六十六番の物真似をし給へば、外道、笛鼓の音を聞きて、後戸に聚まり、是を見て静まりぬ。其隙に如来供養を宣給へり。それより天竺に此道は初る也。

 

〔口訳〕 天竺に於ては、須達長者が、祇園精舎を建立して、仏を供養し奉つた時、釈尊が御説法をせられたが、その時提婆が一万人の外道を引きつれ、木の枝や篠の葉に幣を附けた物を持ち、大声で歌ひ踊つたので、釈尊は御説法遊ばし難かつた。その時、釈尊が舎利弗に目くばせなされると、舎利弗は直に仏力を感受し、御後戸に於て、鼓や鉦の楽器を揃へ、阿難の才覚、舎利弗の智恵、富楼那の弁舌を以て、六十六番の物真似をせられたところ、外道共は、笛や鼓の音を聞いて後戸の方に集つて来、その物真似を見物して騒ぎが止んだ。その間に、釈尊は御説法を遊ばした。かうした事から、天竺に於て、此の猿楽の道が始まつたのである。

 

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