風姿花伝第四、神儀云
 申楽神代の初まり 📍
 仏在所には
 日本国に於ては
 平の都にしては
 当代に於て

風姿花伝第五、奥儀云
 一 序・風姿花伝の謂れ
 二 和州・江州・田楽の風体
 三 一座建立の寿福・衆人の愛敬
 四 寿福増長に対する戒

風姿花伝第六、花修云
 一 能の本を書く事
 二 作者の思ひ分くべき事
 三 強き・幽玄・弱き・荒きの別
 四 能と為手の位との相応

花伝書別紙口伝
 一 花を知る事
 二 細かなる口伝
 三 物真似に似せぬ位
 四 能に十体を得べき事
 五 能によろづ用心を持つべき事
 六 秘する花を知る事
 七 因果の花を知る事
 八 能の善き悪き
 九 一代一人の相伝

 

 

 

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風姿花伝第四、神儀云 申楽神代の初まり

一、申楽神代の初まりと云は、天照大神、天の岩戸に籠もり給ひし時、天下常闇に成りしに、月神の御子、島根見尊を初めたてまつりて、神達、天の香久山に集まり、大神の御心を収らむとて、神楽奏し、細男(才男)をはじめ給ふ。中にも、天の鈿女の尊、すゝみ出て、榊の枝に幣を附て、声を挙げ、ほどろ職踏み轟かし、神懸かり為と、歌い舞奏で給。その御声、窃かに聞こゑければ、大神岩戸を少し開きたまふ。国土又明白たり。神達の御遊面しろかりけり。其時の御あそび、申楽の初と云ふ。委は口伝にあるべし。

 

〔口訳〕 申楽の神代に於ける最初は、天照大神が天の岩戸に御籠り遊ばした時に、天下が常闇になつたので、月神の御子の島根見尊をはじめて諸神達が、天の香久山に集られ、天照大神の御機嫌を直さうといふので、神楽を奏し、細男を御はじめになつた。その中にも、天の鈿女命が進み出られ、榊の枝に幣を附けて、歌をうたひ、ほどろ〳〵と足踏をせられ、神懸りの状態で歌舞せられた。その声が、かすかに聞えたので、大神が岩戸を少し御ひらきになられた。すると、天下国土が又明るくなつた。そして神達の御遊がまことに面白かつた。その時の御歌舞が、申楽の始めだといふことである。詳細なことは口伝にあるであらう。

 

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